むかしむかし、厚狭のある庄屋さんに、なまけ者のひとり息子がいました。
いつもごろりと横になっているので、村の人は、”寝太郎、寝太郎”と言って馬鹿にしていました。
このなまけ者の寝太郎も、なかなかのアイディアマンで、そのことが村の人を救うことになりました。
厚狭川の西のほうに、千町が原とよばれる広い野原がありましたが、水がたらないので何百年のあいだ、村の人は苦しんでいました。
何とかしなくてはと考え込んでいた寝太郎は、ある時のこと、庄屋のお父さんに千石船と船に山盛りのわらじを買ってもらい、佐渡が島へ渡りました。
島の人たちの古いわらじと取りかえてもらったのです。
古いわらじを持ち帰り土を洗い落とすと、その土の中にはたくさんの金がありました。
その金を使い、厚狭川の水をせき止める大工事をやりとげ水不足はなくなったということです。
寝太郎のてがらは、親から子へそして孫へとかたり伝えられていきました。